異業種融合が生む新しい価値 ― サードプレイスとしての異業種交流会の可能性
最近「サードプレイス」という言葉をよく耳にしませんか。自宅(ファーストプレイス)、職場(セカンドプレイス)に続く第三の居場所を指し、カフェや趣味の集まりなどがその例です。立場や肩書にとらわれずに安心して過ごせる場は、気持ちをリフレッシュさせるだけでなく、新しい工夫や挑戦を生み出すきっかけにもなります。
異業種交流会も、このサードプレイスのひとつです。普段は話す機会のない業界の人と出会い、何気ない会話から「そんな発想もあるのか」と驚かされることがあります。そんな気づきや刺激が、自分の仕事に役立つヒントやさらには新しいご縁につながっていきます。
異業種交流会が生み出す新しい価値の可能性
異業種交流会での出会いは、これまでになかった発想を生み出します。「もしこんな組み合わせが生まれたら」というイメージを挙げてみます。
美容院 × ITで実現する「便利な予約と提案」
美容院にとって「予約のしやすさ」は大切です。もしIT企業と組み、スマートフォンで予約するときに過去の施術内容が自動で表示され、さらに髪質やこれまでのデータをもとに「次回のおすすめのカラーはこちらです」と提案してくれる仕組みがあったらどうでしょう。美容師は予約とあわせて顧客の要望を把握でき、お客さんは自分に合った提案にわくわくしながら来店できるはずです。
農家 × カフェでつくる「安心と信頼のメニュー」
農家とカフェが手を組み、「こちらは今朝収穫したばかりの野菜です」という一言を添えて食事を提供できたら、お客様は安心して食事を楽しめます。カフェにとっては「新鮮さ」が強みになり、農家は新しい販路を得られます。
建設業 × VRで叶える「未来の住まい体験」
家のリフォームを考えるとき、多くの人が「完成後の形を想像するのが難しい」と悩みます。もし建設会社とVR企業が組み、お客様がゴーグルをかけてリフォーム後のキッチンやリビングを歩き回れるサービスを提供できたらどうでしょう。完成したイメージが具体的に見えることで、お客様は安心して契約できそうです。
スポーツジム × ウェアブランドで広がる「体験型購入」
スポーツジムで「最新ウェアを試着して運動できる日」があったらどうでしょう。利用者は汗をかいたときの通気性や運動しやすさなどを実際に体験できます。気に入ればその場で購入でき、ウェアブランドにとっては宣伝にもなり、ジムにとっては話題作りになります。
サードプレイスとしての異業種交流会の役割
このような企業同士の取り組みの発想は、ふだんの仕事だけをしていてはなかなか出てこないものです。美容師とIT技術者、農家とカフェ経営者、建設業とVRの専門家がつながるのは、偶然の出会いから始まります。そこで、サードプレイスとしての異業種交流会の出番です。
交流会では名刺交換のあとの会話で、「うちの課題も同じだ」「この仕組みを取り入れたら面白そう」という発見があります。立場に関係なく気軽に話せるからこそ、普段の仕事では出にくい意見や新しい発想が引き出されるのです。
経営者にとっての異業種交流会のメリット
経営者にとって異業種交流会は「頭をほぐす時間」といえるでしょう。
- 固定観念をくつがえす:自分の業界では当たり前と思っていたことが、他業界では全く違う常識であることに気づく。
- 新しいヒントを得る:自分と異なる業界の課題や工夫が、自分の事業の参考になる。
- 将来の協業につながる:雑談から、新しいサービスや事業が生まれる可能性もある。
まとめ― 異業種融合が生む未来をサードプレイスから
異業種交流会は、新しい価値が芽生える場です。美容とIT、農業とカフェ、建設とVR、スポーツジムとウェアブランド――一見無関係に見える組み合わせから新しいビジネスが生まれる可能性のある場なのです。
横浜で毎月開催している当交流会は、そのためのサードプレイスのひとつです。お気軽にご参加いただき、新しい刺激や出会いを体験してください。そこから次の挑戦が生まれるかもしれません。
(投稿者:弁護士 細江智洋)